要点!イラスト・マンガのキンドル独学

テスト

要点

  • 人工知能がいかに進歩しても、人間味が求められるマンガ描きの仕事は人間にしかできない
  • 脱初心者を実践するノウハウや練習法はキンドル本でなら学べる
  • マーケティングや特定専門分野の知識での差別化をしないと、画力だけでは評価されない

イラスト・マンガのキンドル独学の学習内容

イラスト表紙を変えただけで本が売れる 

「キンドル本は表紙が命!」といわれますが、市販書籍も同様です。それどころか、表紙を変えただけで昔からの本が売れたりします。

太宰治の『人間失格』の表紙を小畑健(デスノート)が描いたときには、1ヶ月のうちに古典文学として異例の75,000部という販売数を記録しました。川端康成の『伊豆の踊り子』を荒木飛呂彦(ジョジョの奇妙な冒険)が描いたときも同様でした。

このほかにも『地獄変』や『走れメロス』なども同様に有名漫画家の表紙で、現代に再生されました。イラストの力で古典的名作に魂を吹き込みなおして、中学生高校生に強く購買意欲を訴えたわけです。

なにしろ古典文学の文章そのものは、すでに作家が故人であるため改変改版はないわけです。つまり一文字も変わっていません。ほんとうにカバー一枚を上からつけただけです。イラストの力はすごい!

文章だけの作品の、意図や雰囲気をわかりやすく伝えることは容易ではありません。文学に限らず、共感を伝えることがSNSでますます重要となっています。

共感を上手く伝える手段として、イラストの作成・構成技能に、大きな注目が集まっています。

リスキリングとしてイラストの描き方を学ぶことは、仕事をもらううえでも、自分ブランドの商品・作品をつくるうえでも役立つと期待できます。

マンガも人間味が求められる「なくならない仕事」 

マンガは日本では娯楽の王道ですが、いまやエンタメだけのものではありません。

たとえば健康食品や美容用品の商品紹介のウェブページなど、いたるところでマンガを目にするとおもいます。大企業の商品案内レターでも、当たり前にマンガで解説がついたりしています。

いわゆる「マンガでわかる」はもはや当たり前。マンガは娯楽の形態にとどまらず、情報伝達の一手法としてビジネスの中で確固たる地位を確立しているのです。

「AIが小説を書いた」というニュースがありました。少なくとも言語的な文法は完璧でしたが、内容は支離滅裂だったようです。AIは語と語との相関関係を見ているだけで、「ことばの意味を操る」というところには達していないからです。そもそも原理的にも「意味として理解する」ということができないとされています。

ましてや、AIがマンガをかくなどは到底できません。画像そのものはつくれるでしょうが、何かの借り物を組み合わせるに過ぎません。登場人物のみ深い生い立ち、背景まで含めた人間味を表現する水準には到底たどり着けません。また、画力だけでおもしろさが決まるものでもありません、

したがって、マンガをかく仕事は、将来においてもなくならない仕事です。(プロの漫画家としての仕事が極めて希少であること、出版業が先細りであること、という二点はおいておくとして)

プロとして雑誌で連載をもつのは狭き門ですが、「マンガをかいてほしい需要」は大量に存在しています。プロ漫画家でなくとも、マンガで生計を立てるという土壌・市場が広がっているともいえます。

マンガを作成する環境もかわりました。デジタルの道具を使えば、少ない費用で作品を出発できます。ウェブマンガという媒体から成長した作品集もあります。もちろんキンドルも有力な出版方法です。

リスキリングとしてマンガの描き方を学ぶことは、仕事をもらううえでも、自分ブランドの商品・作品をつくるうえでも役立つと期待できます。

徐々にステップアップする教材があまりない

たいていの分野では、「初心者が中級者になるための勉強法や教材」が一番たくさんでています。プログラミングだとか英語学習の教材がそうですね。

ところが、ことイラストやマンガではそうではありません。

「参考イラスト集」みたいのを開いてみると、いきなり「ふつうにうまい」イラストが1ページ目から出てきます。へたくそな絵が載っていても意味がないので当たり前といえば当たり前ではあります。

ですが、「全然イラスト・絵なんてかいたことない初心者」からすると、「やっぱりうまい人は最初からうまいんだ・・、」と絶望してしまいます。

しかも、解剖学だの、服のしわだの、いろんな衣装や小物だのと、参照すべき資料も山のように際限なくでてきてしまいます。これでははっきりいって、いまから知らない外国語を勉強するほうがまだマシでしょう。

でも、キンドル本がすごいのはまさにここなのです。キンドル本は基本的に活字なので、著者の言語化能力が重要な媒体です。大抵のイラスト教本が絵と図の連発で感覚頼りなのに対して、キンドル本では「初心者はこれがだめ」と明確に指摘してくれます。すなわち、図や絵や写真ではわからないノウハウにまさしく踏み込んでくれます。

たとえば「まずラフを描きましょう」と教本でいわれます。教本では、いきなりポージングだの顔のバランスだのが言われます。でも、ガチ初心者は「ラフ以前のレベル」ですよね。すでにおいてけぼりです。たとえるなら、高校の最初の授業でいきなり大学入試問題を解けといわれるようなものです。

多くのイラスト教本が異様に高いレベッカを要求するなか、キンドル本は、ガチ初心者に救いのノウハウを与えてくれます。たとえばつぎのようなものです。

  • スマホ・PCアプリの3Dグラフィックスでいろんなポージングをさせて、模写をすればいい。60点レベルにはすぐいける
  • アナログのポーズ人形を手でいじって、関節の知識は単純化したものを体でおぼえる
  • 定番の数種類の立ちポーズの模写を反復練習する

いきなり「上手な絵」をもちだしてくるイラスト教本よりも、格段に具体的な練習ノウハウではないでしょうか?

しかも、おぼえるべきことも、参照すべき資料も大幅に減らしてくれていて「これさえやれば上達できる」という路線が明確です。これが言語化の力ですね。

活字のキンドルと、絵のイラスト教本・・・媒体として相性が悪そうに見えますが、逆説的に初心者救済の黄金ルートを提供しています。

まさに、キンドルは、等身大のイラストレーター・漫画家の通ってきた道のりとノウハウを凝縮してくれているのです。

他者からアドバイスをもらう必要性が高い

プログラミングや語学学習でも「自分より上手な人にみてもらう」はとても重要です。ただ、大きな違いがあります。プログラムはいろんな書き方があれど、正しい結果が出ていれば文句はありません。語学もいろんな語法や慣用句がありますが、意図が正確に伝えられれば目的は達します。

ところがイラストやマンガでは、そういう甘さが通じません。「自分では細部までできているつもり」であっても、他社から見たら「全然できていない」ということがいくらでも出てきてしまうからです。

ちょっと話がそれますがご用心を。NHKの朝ドラ『半分青い』では、マンガの製作現場を舞台に話が展開していました。主人公は一時期、プロ作家のアシスタントとして働いていました。『半分青い』ではシビアな漫画家の世界が描かれていました。

主人公はアシスタントとして働く傍ら、プロ漫画家デビューするために、仕事の合間に自分の作品をかいていました。「先生」から批評を受けて、心が折れそうになる場面もありました。(最終的にどうなったかは、ネタバレサイトを見るなり、NHKオンデマンドで見るなりどうぞ)

ドラマでは大袈裟に表現されていましたが、他者すなわち先生からの批評・指導が重要なのは間違いありません。

イラストもマンガもやはり実技の世界であって、「できる人から助言を受ける」というのがとても大切です。カリグラフィーや書道と同じです。

具体的には、自分の描いたものに、自分よりも上手な人に、上から加筆修正をしてもらうとかの経験を積んでいく必要があるはずです。

身近に相談相手がいなくても、いまではスキル販売とかメンターを依頼できるサービスがたくさん出てきています。「イラストをかいてもらう仕事」をお願いすると一回こっきりです。でも「イラストをみてもらって助言をもらう仕事」なら継続的です。

毎日毎日みてもらうと費用もかかってしまいます。安価にすませるには、1ヶ月に一度とかの頻度に調整すればいいでしょう。たとえば楽器演奏も、毎日教室にかようのではなく、普段は自分で練習を一人でやるのと同じ理屈ですね。

「絵が上手」の先にいくには 

画力だけで高い評価や仕事がもらえるわけではありません。これはイラストのスキルに限らず、本サイトで扱うすべてのスキルでも同様です。「評価される努力の方向性」を間違えないようにしないといけません。

百歩譲って「どうしたら絵が上達するか」は教本で学べるでしょう。ですが、「どうしたら絵の仕事がもらえるか」は教本にはのっていません。

ではなにも知らずに徒手空拳でやればいいのか? となると、とてもリスキリングとはよべませんね。

そこでキンドル本です。キンドル本ではイラストレーターや漫画家が「どう立ち振る舞いをすれば評価されるのか」も言語化してくれています。このビジネスセンスが素晴らしいです。

いくつかのキンドル本の共通見解として、「需要を満たしていない作品は、いくら技術的にすぐれた美麗絵であっても評価されない」というものがあります。逆にいえば、需要を満たしてさえいれば、多少下手でも評価されるということです。

もうおわかりでしょうか。もしもこれからリスキリングとしてイラストやマンガの作成技法を学ぼうという場合は、「需要」を先に理解しておかないといけないわけです。

需要が何かという問いは難しいのですが、たとえば空前の大ヒットを記録した『鬼滅の刃』も、連載初期の絵柄はさほど上手ではなかったように見えます。でも、週間少年ジャンプでの「需要」を満たしていた(勝利友情努力)わけです。絵柄は、連載を続けて描いているうちに上達したわけです。

「描けばうまくなるのだから、何を描けばいいのかを詰める」ということに注力するほうが、成果に早くたどりつけるはずです。

そのためには、絵の練習と勉強のほかに、マーケティングについても学ぶと相乗効果が大きいとおもいます。マーケティングは本研究所での大きいテーマの一つなので、ぜひこの機に、セットで学んでみてください。

専門性の選び方

世の流行廃りに乗ってマーケティングを綿密に詰めて、イラストやマンガのテーマを決める・・・言うのは簡単ですが、実行するとなると極めて難しい。もしそんなメソッドがあれば、いまごろ大ヒット作品だらけのはずです。

そこで身につけておきたいのが、高い専門性のある分野の知識です。

専門性のあるマンガ作品の筆頭が、手塚治虫の名作『ブラックジャック』です。手塚治虫自身が医師免許も医学博士号ももっていたので、専門性には疑いの余地がありません。

連載当時、医学生は毎週『ブラックジャック』を読んでいたそうです。当時の医学書・参考書には図解や写真が十分に載っていなかったので、ブラックジャックが手術のなかで使う器具や装置のリアリティが、文字通り、多くの医学生の勉強になっていたのです。

さらに逆転して、いまは参考書などのテキストにもイラスト図解がされるようになりました。「イラストでわかる~」という類の本ですね。

イラスト図解も、医療を筆頭に、料理、投資、仮想通貨、人工知能、環境、量子計算など、どちらかといえば「ややこしい、理解しにくい」ような分野を扱うものに需要があるように見えます。

むしろ、解説したい分野がややこしいほど、イラストを使う意義が大きいからです。単にグラフの図表を示すのではなく、「心に届かせるイラスト」というものの存在感が増しているのです。

リスキリングという観点では、絵の勉強・画力向上はそこそこにしておいて、「専門分野の知識を仕入れる」ということをすると、明確なポジション取りや収益化につながりやすいでしょう。

ポジション取りとしてわかりやすいのは、マンガでいうと、三田紀房の『ドラゴン桜』です。三田作品では画力はさほど追い求めていませんが、マンガとして「読ませる」工夫を盛り込んであります。三田氏の卓越したマーケティング努力やリサーチ能力に裏づけられた知識量の賜物です。 

ビジネスのためのイラスト・マンガで求められるのは「大人が読むマンガとかイラスト図解」です。なんらかの商売に結びつけたいので、媒体としてイラストやマンガを用いているわけなので、やはり画力以外のことがかなり求められます。

キンドル本では、専門分野の選び方や差別化方法を学ぶことができます。著者たちが取り組んできた数々の失敗実践に裏打ちされたノウハウは、私たちの失敗確率を下げる上で非常に有益です。キンドル本で、生きた情報を学びましょう。

キンドル独学のアウトプットの場は? 

イラスト・マンガほどアウトプットが求められるものはありません。見せてなんぼの世界ですね。

まずイラストは、見た瞬間の印象がいっぱさで決まるシビアな勝負です。まず画力については、自分が相対的にどのくらい上手・下手なのかを「数値化」できると取り組みやすいです。

たとえばSNSでの「いいね」の数であるとか、pixivでのランキングであるとかは、ベンチマークとして使えるといえます。画力のベンチマークがある程度になってくれば、仕事もとりやすくなるはずです。

マンガと専門分野も、自作作品を共有するサービス・サイトに出してみるしかありません。もちろん大手出版社への企画・原稿持ちこみもあると思いますが、いまはインターネットをフル活用したほうがいいです。

ペンタブレットなどデジタル機材を使えば、時間も費用も節約しながら作業できます。当然、ウェブとの相性もよいので仕事もとりやすいわけです。明らかに、いまからアナログの紙原稿をつくっても得策ではないです。

キンドル本では、自分の作成にどうしたらよい意見やフィードバックを得られるか、どうしたら絵を描くことをお金にできるか、というノウハウを学ぶことができます。トップクリエイター・一流連載漫画家ではない、等身大のイラストレーター・漫画家のノウハウを学びましょう。


まとめ

  • 表紙をかえるだけで古典文学が大ヒットする力が、イラストにはある
  • 人工知能がいかに進歩しても、人間味が求められるマンガ描きの仕事は人間にしかできない
  • 脱初心者を実践するノウハウや練習法はキンドル本でなら学べる
  • マーケティングや特定専門分野の知識での差別化をしないと、画力だけでは評価されない
  • まずインターネット上で評価されるようSNSで存在感を高める努力を継続すべし