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語学のキンドル独学の学習内容
知識量以前にマインドとメンタルをつける
AI技術でかなりの程度まで、文字の文章の翻訳はできるようになってきています。読み書きについてはソフトウェアの力が先々に影響力を強くしてきます。外国語であっても読み書きスキルの希少性は少しずつ薄まっていく可能性が高いです。
スキルの希少性を維持するには、対面でのリアルタイムの会話に重点をおかなければなりません。では、話すための語学学習で大事なものは何でしょうか?
- 発音?
- 単語量?
- 文法?
もちろん皆大事なんですが、これらは知識に過ぎません。知識をいくら蓄えても、ことばを操ることはできません。AIには敵いません。
一番大事なものはマインドとメンタルです。
たとえば、赤ちゃんをみてください。最初から語彙が十分あるわけではないですね。でも、覚えたてで知っていることばをなんとかつかって、大人にいろいろと伝えようとします。それでも大人はちゃんと意図をくみ取ろうとして、意思疎通が成立してきます。そして語彙や表現力が増えることで、だんだんと意思疎通が正確になっていくのです。
この「知っている範囲の知識でどうにか伝える」というのが最重要です。知識ではなくて心掛け(マインド・メンタル)ですね。
逆にいえば「どうにか伝わる範囲に、必要となる知識を絞り込む」ということがノウハウとして出てきます。かんたんにいえば「おぼえるべきことを減らす」という切り口です。
おぼえることを減らす
文法、語法、単語はそれぞれの言語のかずだけあります。「あれもこれもおぼえないといけない!」と考えていては、いつまでたっても使えるようになりません。
そもそも単語を大量に覚えるだけなら、スマホとかのデバイスでsiriとかグーグルアシスタントとかアレクサにきいたほうが早い時代です。暗記すること自体の意義はかなり薄れています。
自動翻訳もAI技術で格段に進歩しています。zoomなどの会議ソフトでは自動字幕は当たり前として、多言語間のリアリタイム翻訳もできるようになってきています。対面ではなくオンラインでの会議もコロナ禍をきっかけに増えるなか、こうした先進技術によって国際交流のハードルも下がっています。
したがって「いつか使うために外国語の知識を増やす」ということよりも、「今すぐ対面で使えるように外国語を操る」というマインドを一層強くもたなければいけません。
そして今すぐということであれば、「いま知っていること」が最重要です。新しいことをおぼえるのは最小限にしないと、いつまでも使いこなせるようになりません。
皮肉にも技術進歩によって、語学学習をとりまく環境も意義もかなり変わってしまっているのです。闇雲に知識を増やす勉強量よりも、とにかくマインドの切り替えをして「おぼえることを減らす」という逆の発想が必要なのです。
もちろん「正確なニュアンスもわかって瞬時に語や文法の使い分けを選択できる」という前提がある場合に限れば、たくさんの知識をインプットしておくことは役立ちます。人はその状態を「ネイティブ」と呼びます。
しかし、リスキリングを論じるのであれば、あなたが選ぶ外国語・語学に対して、あなたは「ノンネイティブ」のはずです。
ノンネイティブの人がきちんと意思疎通できるようにするには、流暢かつ広範な言語知識は必要ではないと思います。
多少たどたどしく狭小な言語知識しかもたなくても、伝わる論理の組立てをしていけば意思疎通はできるわけです。むしろ、選ぶべき単語のレパートリーが狭いほど、瞬時に語や文法を選んでいけますよね。
使うことばを固定する
同義語・類義語をたくさんおぼえて使い分けるのはハードルが高いです。「おぼえることを減らす」ということは、「類義語をあきらめる」ということです。
さらに考えてみると、主語を表すことばも減らせそうです。
日本語では主語を表す言葉がたくさんありますね。『わたし・わたくし・ぼく・おれ・自分・わし・おいら・・・・・』と多すぎます。日本語を外国としてまなぶ人にとっては、一つの主語表現だけをおぼえて反復練習していくほうがいいのは間違いありません。
日本語を学ぶ外国人が、たとえば主語表現を『わたし』に固定してみたらどうでしょう。『わたしが・の・に・を・て・は』の使い分けにすぐ進めそうですよね。おぼえる量を減らせば進むスピードも早まります。つまり、「トータルの意思疎通ができる会話ができる状態」に、より早く近づけます。
日本人が外国語を学ぶ場合も、似た工夫が有効です。
たとえば、英語では主語がHeとかSheで始まって、時制が現在形のときは、動詞にsをつけないといけない(例: He speaks Spanish very well.)という規則があります。学校でもこの規則そのものを学ぶわけですが、マインドをかえてみれば「そもそも主語にHeやSheを使わない」という切り口がありえます。
たとえば、以下のような切り口で主語表現を選ぶこともできますね。
- 自分の意見や感情を述べるときは I ではじめる
- 一般的なことを述べるときは You ではじめる
- ものについてはTheyでいう
- 代名詞itは主語でつかわない
そもそも論説や専門的な議論(discussion)のなかでは、He や Sheが現在形ででてこなくても問題ありません。気軽なおしゃべり(chat)の中でしかHe やSheは出現しません。
そもそも、収入アップのためのリスキリングで外国語を学ぶのなら、おしゃべりの仕方は不要です。専門的なトークやペーパーができるようにするのが優先です。そのためには、普通なら覚えることでも、どんどん削っていって「迷わないようにする」仕組みを持つべきです。
いま紹介した「マイルール」でいえば、英語については
- 主語は I/You/They の三択
- 続く動詞は、、、?
となって、もう先へ進めます。
インド式英会話の考え方を見習う
今度は動詞について「おぼえること」を減らします。よくいわれる「インド式英会話」にしたがえば、必要な動詞は30個。以下の3パターンだけです。
- sound型10個
- find型10個
- give型10個
30個の動詞のなかから選ぶようにするので、選択を迷わないようになります。瞬発力が上がる重要な工夫です。
西洋系の言語では、主語・動詞の組を間髪入れずに話す、書くことが最重要とされます(動詞中心に言語が組み立てられる文化だから)。
主語表現と動詞表現の候補を絞ることで、言語の最重要ポイントは押さえつつ、迷いを減らせました。間違いも減る(動詞のsがない)ので、自信もつきます。
以上の「減らす」工夫とマインドにより、主語と動詞は決まって、英語の「型」がキッカリとかたまります。
- 主語は I/You/They の3択
- 動詞はsound/find/giveなど30択
- 目的語・補語は・・・?
英語を題材に「おぼえること」の減らし方を紹介してきました。フランス語やドイツ語やアラビア語でもこの考え方は通用します。もちろん日本語でも通用します。動詞を固定してしまうやり方は、言語を問わずに有効です。
さて、後ろにつづく目的語と補語は、名詞と形容詞の知識ですね。それぞれどうするといいでしょう?
名詞については専門分野と専門用語に強くなれ
外国人との意思疎通においては、「言外の常識」が通じません。文化圏が違うためです。意見や価値判断を述べるときには、事実を組み合わせて説明しないと理解されません。
前提を確認しましょう。
- 形容詞は意見を伝えるもの
- 名詞は事実を伝えるもの
意見を伝えたい場合は形容詞が重要ですが、そもそもの会話・議論の前提とすべきは事実のほうです。当然ながら、たくさん覚える必要があるのは(形容詞ではなく)名詞です。
名詞はとにかくたくさん覚えるべきです。抽象的になる多義語よりも、具体的に絵や写真で示せる単義語(一通りにしか意味が解釈しようがない言葉)は優先しておぼえておくべきです。
名詞を知らないと致命的です。
また英語や例に考えてみましょう。たとえばtomatoという英単語を考えてみてください。
- tomatoを「トマトだ」とわかること
- トマトはこういう食べ物、野菜、料理に使われものだと知っていること
まったく知らずにWhat is tomato?としていたのでは、料理や農業の話どころではないでしょう。
もっと専門的な単語ではどうでしょう?volatilityという英単語があります。日本語でもボラティリティーといわれます。専門用語を1から説明すると大変骨が折れるものです。ボラティリティーとは「株価や債権の価格変動のこと」という説明になるので、専門用語を説明するために専門用語が必要になってしまうからです。
ですから、専門用語は内容と概念をあらかじめ母語で頭に叩き込んでおく必要があります。
西洋人はまったく同じ表現を繰り返すのを嫌うのですが、業界の専門用語だけはまったく同じ語を使わざるをえません。
言い換えれば、専門用語の名詞を心得ていれば、難しい動詞を使わなくてもインド式30個で意思疎通はできるということです(このような、専門用語+インド式の英語をGlobishということがありたす)。
形容詞は覚えなくていいと述べましたが、専門用語には形容詞と組み合わさって意味を持つものが多いです。経済用語で例を挙げてみましょう。
- double taxation (二重課税)
- acrive management (アクティブ運用)
- external audit (外部監査)
英語において、実のところ、形容詞はほとんどが専門用語としてでてきます。したがって、専門用語をたくさん覚えれば、必然的に形容詞もたくさん覚えることができます。西洋言語はだいたいこのパターンになっているので、外国語学習の基本戦略として応用が期待できます。
加えていえば、形容詞と名詞をばらばらにおぼえるのは非効率です。組み合わせた業界専門用語としての意味のほうが付加価値も重要性も高いに決まっています。組として覚えることで、理解も深く、さらに応答も瞬発的になります。
「名詞をたくさんおぼえる」「専門用語をたくさんおぼえる」は専門性の高い仕事での意思疎通にうってつけです。費用対効果の高いリスキリングのノウハウであると確信しています。
割り込んで聴き直すマインド
「言われたことは一度で聞き取らないといけない」というのは、悪い脅迫観念です。ペーパーテスト文化の弊害といえます。
そもそも、普段日本語でも聞き取れないことはいくらでもあります。聞き取れないものを生返事で「わかりました」と返すほうがよほど悪いです。少なくともビジネスの場では、何度でも内容を確認して間違いがないようにしたほうが周囲からの信頼につながります。
外国語を学ぶときに完璧さを追求すると、聞き取れない事態に直面したときに思考停止してしまうかもしれません。思考停止は列車の脱輪のようなもので、路線復帰するまでに時間がかかります。つまり、一回聞き取れないと、しばらくまとまった話全体がわからなくなる状況にもなりかねません。
そこで、マインドとしては「そもそも聞き取れないものだ」と思っておくほうがいいでしょう。
聞き取れないときは、いったん目の間の相手の話すのを止めて、「ごめんなさい、もう一回お願いします」と即座に言うべきです。
もしも全部話し終わってから「あのときからわかってませんでした」と言われたら、相手だってかなり不快です。傷が浅いうちに割り込むほうが好印象です。
実際に英語圏でだってネイティブ同士でしょっちゅう"Sorry?"と聞き返しています。空港とかで様子をみたりすればわかると思います。Youtubeでもでてきます。心配な方は調べてみてください。
これは万国共通で「ごめんなさい、もう一度?」と、どの言語でも疑問調子で言えばオーケーです。よほど悪い意地悪な関係でなければ、普通は改めて話してくれます。
しかしながら、「相手の話してるところに即座に割り込む」というのにハードルがありますね。
日本では「人の話は最後まで聴くもの」というのが「常識」とされています。しかし、西洋文化圏ではその「常識」は通じません。
かずの経験から言うと、アメリカ人などは制止をかけない限り、ずっと話し続けてしまいます。イギリス人も同様です。ドイツ人はいったん話を区切らせてくれますが、特にこちらからなにもいわなかったら、また話し続けます。「西洋人は制止や割り込むをかけないと話し続ける生き物である」と覚えておく必然があります。
西洋人の正常を考えてみれば、「相手話を最後まで聴く」というやり方では、いつまでたっても聴くだけになってしまいます。それどころか、もっと悪いです。当の西洋人からすれば、会話が全部終わってお別れになるときに「あいつはずっと黙ってるだけでなんだったんだ?」という悪い印象につながるからです。
アジア圏でも「相手の話をちゃんと聴く」というのが文化としてあります。しかし、アジア圏でも高等教育を受けたような人材は、グローバル化のなかで西洋流の意思疎通術も心得ています。日本人よりも自己主張や会話への割り込みもやっていってます。
外部環境が西洋流の意思疎通を求める中で、日本人が外国語を学ぶときに完璧さを追い求めても意味がありませんね。やはり「話に割り込む、聞き直す」というマインドを意識的に強くすることのほうが価値があります。
オンライン会話の効率的な練習方法
対面式の語学学校で学ぶ際には、現地留学が最も効果あります。
学生時代、原付で事故に巻き込まれて怪我をした友人がいました。怪我は大したことがなくて、保険がきいてボロボロの原付にすら値がつきました。周りは心配してましたが、本人はまとまった額のお金が手に入ったと喜んでいるくらいでした。このお金を使って、その友人は1ヶ月半の春休みの間に、カナダのトロントの語学学校に通いました。
その友人は、カナダへいくまえに受けたTOEICはたしか200点台で、ほんとに英語は全然できないという感じでした。それが休みがあけて(その友人がカナダに行って帰ったあと)みると、見違えるほど上達していました。読み書きは上達に時間かかるのでまだまだでした。けれども、聞く話すについては格段に表現豊か、目立つ詰まりもないように話していました。
短期集中で一気に能力向上するためには、現地語学学校に通うというのは、いまでも効果絶大だと思います。
しかし、コロナ禍で状況もずいぶん変わりました。海外渡航そのものができなくなったからです。選択肢は限られて、どうしても近場の外国語教室に通うくらいになったわけです。
とはいえ、いまどきは外国語教室に定期的に通うというのは、すっかり廃れてきています。コロナ禍で対面がやりにくくなったこともあり、一層のオンライン語学学習が加速しました。オンライン型では、通学時間も費用も節約できてスマホ一台で取り組めるわけですね。オンライン型に切り替えが進むのは当然です。
対面とオンラインとでは、ちょっと違いがあります。人間は無意識のうちに、言語以外の状況・感情情報を大量に感覚器官から受け取っています。意思疎通を円滑にするための生来的な仕組みです。生来の仕組みがあることで、人間同士での会話では多少集中力が途切れたりしても大丈夫になっているわけです。
ところがオンラインになると、視覚と聴覚の限定的な情報(解像度も音声ビットレートも低い)しかありません。つまり、意思疎通に関わる生来の仕組みを活用することができないため、相当に集中力を持続させないといけません。少しでも集中力が切れると、相手の話が理解できなくなります。
外国語にかぎらず、母語でも同様です。オンラインでのウェブ会議が増えた方は多いと思います。ウェブ会議では「ちょっとボーッとしてると話がわからなくなった」ということが少なからずあったと思います。まさしくオンラインでの会話の難しさが現れていたのです。
オンラインでは通信のせいで、音声や映像が途切れたり不安定になったりして、目の前の相手の存在が「不連続」になってしまうことがあります。この「不連続」も大きなストレスになります。オンラインの語学教室にはさまざまな学習阻害要因があります。
オンライン特有の学習阻害要因を放置しつう、ただ「相手のいうことを最後まで聴く」方式を続けていてはいけません。少なくとも現地語学学校のような高い効果を得ることは到底不可能です。
「通信が不安定なのでちょっと待って」とか「いまのもう一度お願いします」というマインドをまず持ちましょう。日本語でいうので、この「割り込み・お願い」をすこし一人で練習してみましょう。
また、マインドは自己暗示でもあり、反射でもあります。反復練習して、何も考えずに即座にいえるように(九九をそらんじるように)しておかないと使えません。
「割り込んで『もう一度』」「相手が止めなくても割り込んで『意見する』」この二点を実践するマインドを、自分の中に整えましょう!
キンドル独学のアウトプットの場は?
オンライン会話をやっていくのが第一優先です。普段自分で練習したことを、オンライン教室の場で披露して、修正指摘をもらいます。楽器やスポーツと同じです。これが結論ですね。
問題とすべきは、その有効な活用方法なのです。
語学は、楽器やスポーツと同様、練習方法を確立しないとほぼまったく上達できません。身近にもいますよね? 会社の語学研修プログラム受けたけれど全然上達していない人というのが。
当研究所で扱うスキルのうち、「やったぶんだけ上達する」が一番成り立ちにくいのが語学です。
そもそも英語ですら、中学高校でトータル500時間は授業があったわけです。自習も含めれば1000時間くらいの学習はしていておかしくありません。しかし、多くの日本人が満足いくよう英語を話せるようになっていないはずです。
話せない理由を学習時間量に求めるべきではないですね。明らかに練習方法の間違いです。
英語を教訓にしてみれば、英語以外の外国語を学ぶにしても、オンライン会話をただやればいいというのは、まずありえません。
上達するには言語知識以前の、取り組むマインド、心構えというものが重要だと再三述べてきました。つまり、学習のためのメタ的なノウハウが欠かせません。
キンドル本には、語学の学習ノウハウが多数紹介されています。プロの通訳者や翻訳者・ハーフやネイティブでもない、純ジャパの人が体当たりで身につけたノウハウが、キンドル本には書かれています。
きかには、市販の語学学習法の本にはない、等身大のリアリティや失敗体験もあります。キンドル本でオンライン教室を有効活用するノウハウを積極的に獲得し、語学リスキリングに役立てましょう!
まとめ
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