Contents
マーケティングのキンドル独学の学習内容
マーケティングと営業との違い
マーケティングとは「売れる仕組みづくり」です。自分の商売を始めたい人はもちろん、会社勤めの身であっても心得ておくべき知識です。
ところで、営業とは「売る活動」のことです。マーケティングが仕組みとして「だれが、どこに」などに注力するのに対して、営業は具体化交渉として「いかに売り込むか」に注力します。両者は異なります。
経営学者のピーター・ドラッカー曰わく「マーケティングの目的は販売(営業)を不用にすることだ」そうです。流石にこれは乱暴だと思います。むしろ、マーケティングと営業は、車の両輪のようなものだといえます。
理想としては、マーケティングによって、売り込み活動をせずとも勝手にどんどん売れてしまう状態がベストです。
けれど、マーケティングだけでは人の心理まで掴みきることもまた難しいでしょう。直接向き合って、提案・交渉をすることの大切さはずっと残ります。だから営業マンはずっと必要です。
対面が重要!という意見が根強く残りますながらも、多くの人(営業マン含めて)がマーケティングに注目しています。
「すでにあるもの」を視点を変えることで付加価値化する
なぜなら「つくれば売れる」とか「いいもの・サービスが売れる」という時代ではなくなったからです。もっというと、「いいものをつくって、一生涯売り込めば、きっと売れる!」と考えるのが難しい世の中になったからです。いまや、放っておいては、売れるものも売れないのです。
逆にいえば、マーケティングがしっかりしてさえいれば、扱う商材が目新しくなくても、売れるようにすることができます。
そもそもよくみてください。身近な商品は全く新しい、見たことも聞いたこともないような革新的なものばかりでしょうか? ちがいますね。すでにあるものばかりです。技術的にわずかに改良が加えられた程度のものばかりです。イノベーションなどほとんど起こってはいません。
なぜ別段目新しくないのに売れているのでしょうか? クリーニング屋さんがどんどん新規出店したりできるほど売上を増やせるのはなぜでしょうか? この疑問にこたえるのがマーケティングですね。
マーケティングとは、「すでにあるもの」に対して、視点を変えることによって付加価値を認めさせることだといえます。商材自体ではなく、視点のほうに「新しさ」が求められているのです。
視点について「新しい」といいながら、まったくの独創的切り口である必要はありません。「いままでは注目されてこなかった視点」というものを掘り起こしてあげればいいのです。
たとえば、「いままでは子ども向けに売ってきたものを大人用に売る」とか「年配者向けに売ってきたものを若い女性向けに売る」とかに、切り口を変えてみるわけです。
切り口を変えて訴求先を選び直すことがマーケティングの核心といえます。そして、市場調査や広告宣伝などを総括してマーケティング活動と呼ぶわけです。
セルフプロデュースの武器になる
この「切り口を変えて訴求先を選ぶ」ための技法を心得ておくと、様々なところで応用できます。
営業は当然として、イラストレーター、デザイナー、ソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、ライター、通訳者などの専門スキルの持ち主について・・・自分の専門性を活用したセルフプロデュースができます。つまり、差別化ができるわけです。
差別化ができれば、自分の希少性や権威性が付いて、仕事も舞い込みやすくなります。マーケティングの知識をもっておくことで、自信のスキルとの相乗効果が大いに期待できるわけです。
いま売れているものは、昔から売れているもの
いま売れているものはなんでしょうか? 答えは「昔から売れているもの」です。定番企業の定番商品が売れ続けているだけです。
消費者物価指数という経済指標があります。総務省統計局が選定している品目について、販売価格を月次調査しています。この品目で選ばれる代表の商品は、まさしく定番中の定番ばかりなのです。
身近な食品から例をあげてみましょう。
- 品目「調理カレー」では、カリー屋カレー
- 品目「混ぜごはんのもと」では、ミツカン五目ちらし
- 品目「アイスクリーム」では、ハーゲンダッツバニラ
- 品目「チョコレート」では、明治ミルクチョコレート
どれもこれも、本当に定番のものばかりです。消費者物価指数に代表させている商品とは、このような定番なのです。
では、大企業や老舗企業の定番のもの以外は全然売れないのでしょうか? そんなこともありませんね。長続きするかは別として、次から次へと新商品・新サービスが出現してきています。一部だけが新しい定番になっていきます。
小規模企業・個人の差別化の方法論
さて、「いま売れているものは昔から売れているもの」というなかで、小規模企業や個人の商材を売れるようにするには何を考えるべきでしょうか?
特筆すべき革新的な商品・サービスでしょうか? 革新的なものはごく一部のスタートアップ企業ですら容易に提供できるものではありません。
となると、ほとんどの「新商品」なるものは、実はすでにありふれたもので作られています。何かと何かの掛け合わせがせいぜいです。ここにヒントがあります。
マーケティングで重要なのは、つぎの参天の再定義と再整理です。
- 誰に
- 何を
- どのように伝えるか
この中で「何を」は大した問題でないことがわかります。ありふれたもので構わない。いわゆる「ふつうの品質」であればよく、競合よりも特段の劣った点がなければいいくらいです。居酒屋でもクリーニング屋でもなんでもいいです。「ふつうの品質ができる」というスキルさえ揃えられるならいいでしょう。
すると問題は残り二点。「誰に」と「どのようにつたえるか」です。「誰に」は、訴求対象を考えることです。「どのように」は、宣伝の媒体と方法を考えることです。平たくいえば「刺さる宣伝方法」を考えることです。
基礎の基礎:3C分析と4P分析
マーケティングの参考書をみると、いろんな整理法(フレームワークという)がのっていて、どこから手をつけたらいいかわからなくなるほどです。
数ある整理法の中でも、まずおぼえたいのが、3C分析と4P分析です。
3C分析とは、以下の三者の立場で、自らの立ち位置を選ぶ手法です。
- Customer 顧客(市場)
- Competitor 競合
- Company 自社
狙うべきは、ニッチといわれる「潜在的に顧客はいるが、競合がいない領域」です。大手がまともに対応するとコスト高になって手をだせない種類の顧客・市場を見つけるわけです。ニッチ市場は規模が小さいとしても、競争相手がいません。見つけたニッチ市場で自社の強みがあるかどうかを、この3C分析で洗い出せれば、ターゲットが確定できます。
つづいて4P分析とは、以下の4視点で販売の具体的施策を考える整理法です。
- Product 製品・サービス
- Price 価格
- Place 販売場所・提供方法
- Promotion 販促活動
先に「何を」は「ふつうの品質のもでいい」と述べました。
たとえば、ふつうの居酒屋だったらどうでしょう。居酒屋の改装や新規オープンで考えてみましょう。
まずProduct(製品・サービス)です。ふつうの居酒屋であれば、唐揚げとフライドポテトとビールとが出せれば、とりあえずよさそうですよね。店主こだわりの希少な食材での創作料理は求められていません。とにかく、ふつうにビールが仲間と飲めればいいです。
Priceつまり価格は、安いのか高いのかですね。これが唐揚げ専門店! みたいな位置付けをねらうのであれば、唐揚げをそれなりの価格帯にしていきます。でも、いまやおいしい唐揚げもいくらでもあります。3C分析で先に洗っておく点ですね。
たとえば予め3C分析で「若い独身男性がひとりできて、ビールとついでに〆の料理も済ませていく店がほかに地域にすくない」という発見をしていたとしましょう。
そうすると、創作料理よりも、〆のラーメンの種類や出来にこだわるとよさそうです。アルコールの入った状態で食べるので、本職のラーメン屋ほどのうまさも品質もなくても大丈夫ですね。
価格はラーメンをやすくしておいたほうが、安心してビールを飲めていいでしょう。ということで、Productに「〆のラーメン」を追加します。そして、Priceとしては「ラーメンは安くしておく。そのぶん量も減らしておく」という設定ができそうです。
つぎにPlace、販売場所です。居酒屋では実店舗ですね。飲食店は立地が大切ではありますが、コアなファンであれば多少の立地が悪くてもきてくれます。「若い独身男性」であれば、体力もありますから、多少駅から離れてても大丈夫です。賃料もやすくなるでしょう。
立地のほかは、店構えを目立たせることもPlaceに入ります。入り組んだところでひっそりと隠れ家をやっていては、店を見つける前に諦めてしまいます。わかりやすい店構えが必要です。
もちろん、意に反して入り組んだ立地となってしまう場合もありえます。でも、いまは誰もがスマホをもっているので、GPSでルート案内ができれば近場まではこれます。すると、Placeとして、二点考えるとよさそうです。
- 店の名前、住所、電話番号がインターネットですぐでてくる
- GPS案内で近場まで行ってすぐに店構えに気づける
居酒屋のホームページと店舗店構えの二つの問題になりました。経験を積んだ外注業者に意図をはっきり伝えることができれば、これでPlaceは合格ラインになるでしょう。
最後にPromotionです。「若い独身男性」であれば、新聞折り込みチラシはまずみないでしょう。駅前ビラ配りかSNSを使うのが宣伝方法として効果ありそうです。
ビラ配りは印刷費用もかかりますが、認知してもらうことは重要です。大々的にビラ配りはできそうにありませんが、予算を絞った上でビラ配りするのはよさそうです。
SNSは拡散効果があるので、若い独身男性に的を搾るなら「客が客を呼ぶ」ということが期待できます。よく飲食店で「LINE登録してきれたらドリンクサービス」とか「Twittetのハッシュタグつけてくれたらお通し無料」とかがあるのは、この狙いのためですね。
ビラ配りと違って店にいながらにして完結できるし費用も生じないので、SNSは積極的にやることにします。媒体もたくさんあります。
- LINE (プッシュ通知)
- ツイッター(宣伝文句)
- インスタグラム(写真)
- ティクトク(動画)
- フェイスブック(リアルな客・店関係)
これらの性質をつかいわけながら積極的な宣伝をしていくことができそうです。
さて、3Cと4Pの結果をまとめるとどうでしょう。最初は抽象的にみえたかもしれなきですが、詰めていけば具体的に実行可能になります。
「唐揚げもふつう、フライドポテトもふつう、ビールもふつうの生ビール。〆のラーメンが安めで充実。独身男性が酒と〆をちょっとやるのにちょうどいい、スマホでGPSでいけば目立つ門構えですぐ入れる、ふだんから通いたくなる居酒屋」です。そして、店や客の様子をSNSで毎日等身大に更新すればいい。それでこの4P分析の施策は実現達成です。
顧客台帳をもつ
ターゲットの無数の顧客のなかでも、とりわけ有望な顧客が誰なのかを把握しておくことは大切です。昔から商人は有望顧客を集めた顧客台帳というのをもっていました。お得意様リストですね。
そもそもビジネスとは「顧客を獲得すること」です。商品を作るのは目的ではなく単なる手段です。手段にこだわっていては(居酒屋が謎の創作料理ばかり作っていては)ビジネスになりえません。
顧客台帳をもつのは、ビジネスを作ることそのものです。ゴールそのものです。
では、現代における顧客台帳とはなんでしょうか?コロナ禍で対面も難しい中、一人一人に会って、厳しく管理が要求される個人情報を収集することでしょうか?
この問題の解決方法として、様々な業界・業種で、自社製アプリというものを作っているわけです。LINE登録などももちろんよいのですが、自社製アプリであれば、名前・年齢・住所・メールアドレスも登録してもらえます。個人情報は専門のITシステムでクラウド上で一元管理されます。
自社製アプリを使って個人情報を安全に収集し、利用者ごとに適した内容・頻度・時間帯を場合分けして宣伝することができるようになります。いろんなアプリが「プッシュ通知」をしてくるのはそのためです。ITとの組み合わせなくして、顧客台帳は語れないわけです。
顧客台帳をつくりたければ、自社製アプリをつくるべきです。プログラミングができなくてもマウスだけでソフトをつくることもできます(ノーコード開発)。外注することもできます。
アプリで顧客台帳ができたら、メールマガジン、ステップメール、プッシュ通知を打っていきましょう。SNSは「受動的」ですが、顧客台帳を使っての宣伝は「能動的」です。駅前ビラ配りよりもずっと効果的です。
費用対効果の訴求
BtoBではBtoCよりシビアになるものがあります。費用対効果です。
情緒的に「この設備投資で生産性が上がります」とか「労務費が減らせます」と言っても意味がありません。求められているのは、論理です。すなわち数字です。
「今回の投資をすることで、どのくらいの期間でどのくらいの収益が得られるのか」とか「今回の投資をすることど、どのくらい費用削減がどのくらいの期間でできるのか」といったロジックがもとめられます。
マーケティングよりも営業に近い領域です。しかし、マーケティングが「仕組みづくり」である以上、個別の営業マンが提案資料に個別にまとめるよりも、マーケティング責任者が予め試算しておくべきです。
BtoBや教育系のマーケティングでは、製品やサービスの直接利用者が、購入の意志決定者と異なる場合がほとんどです。工場設備であれば、直接利用者は末端の現場技術者ですが、設備投資を決定するのは工場長とか製造部長という人です。教育系であれば直接利用者は子どもですが、購入契約の意志決定者は保護者です。
直接利用者と意志決定者とが異なる場合は、いくら直接利用者向けに宣伝文句や宣伝動画を作って利便性を訴えても無意味です。まず意志決定者を切り崩すマーケティングが必要です。
教育系であれば「この講座を一年うければ、あなたのお子さんが○○高校に合格できます」とか、工場設備であれば「この設備は導入費用を半期で回収できます」というような押し出しがもとめられます。
押し出しのための費用対効果を見込み顧客の意志決定者が明確にイメージできるよう、総額費用や累計期間などの試算の標準モデルをつくりましょう。できれば、3C分析とセットで競合商品・サービスについても同じ計算をしておくと、そのまま営業提案資料にも使えます。
マーケティングは一見すると専門的でややこしい分野に見えるかもしれません。しかし、税理士や会計士のような細かい計算の理解や応用は求められていません。
キンドル本では、マーケティングを単なる教養として「わかる」はなく、道具として「使える」ようになるためのノウハウが多数紹介されています。
キンドル本では、マーケティングの素人立った人が、自社・自前の商品を売れるようにした仕組みづくりを、等身大の例で解説してくれています。市販書籍のスーパーマンとは違う、現実的なスケールの成功例と失敗体験についてかかれたキンドル本は、まさに生きた教材です。ぜひキンドル本でマーケティングのノウハウを学びましょう。
ウェブでの手法
紹介してきマーケティングの方法は一般的名ものでした。さらに最近はノウハウやコンテンツという無形の商品を売るビジネスも増えています。
価値観が多様化するなか、モノからコトへ重心が移り、すぐに役立つノウハウや、自分のときめくコンテンツに対してはお金を払う価値があると思う人が増えているからです。
無形のノウハウ・コンテンツ商材はウェブとの相性がよいです。インターネットをフル活用したマーケティングについては特別に「ウェブマーケティング」とよばれます。
ウェブマーケティングでも、やることは普通のマーケティングと同じです。そもそも3C, 4P分析そのものには紙とペンがあれば十分です。Product(製品・サービス)は、動画・温泉・文字のコンテンツです。Price(価格)は低価格から高価格まであり、高価格品をどうやったら売るかという有望顧客の作り方と誘導が、ウェブマーケティングの主題です。
まず問題なのは、4PのうちのPlace(提供方法)とPromotion(宣伝)です。
無形コンテンツについても、提供するためのプラットフォームが続々とでています。いわゆるデジタルコンテンツ販売プラットフォームとして以下のものがあります(この他にもたくさんあります)。
- キンドル・ダイレクト・パブリッシング
- Adobe Stock
- note
- PIXTA
- Square
- BASE
- STORES
コンテンツ販売を行う場合には、バーチャルオフィスを借りたりする工夫も必要です。関連する法律は専門のウェブサイトでよく調べておくとよいです。
キンドル本ではデジタルコンテンツの販売についての本がたくさん出版されています。一番熱い分野といってもよいでしょう。実績が全然なかった人がゼロからPCとスマホだけでどのようにビジネスを組み立てたのか、その全体像と詳細のノウハウが書かれています。
いま熱いコンテンツ販売のノウハウをキンドル本で学びましょう。
キンドル独学のアウトプットの場は?
マーケティングの練習として、スーパーに並んでいる商品を手にとって調べてみるというのは有効です。ソフトウェア開発でいうリバースエンジニアリングのようなものです。
それぞれの会社が競合ひしめくなか、どのように自社製品やブランドの立ち位置をつくっているのかというマーケティング施策を逆算してみるわけです。
CM, ウェブサイト、SNSなどの宣伝媒体はいまやどの企業ももっています。「誰に」「何を」「どのように知らせるか」という基本路線が、どのようなマーケティング整理法に基づいて決定されたのかを想像してみましょう。
できれば、紙一枚でも二枚にでも簡単にまとめてみて、それをSNSで共有してみましょう。場合によってはその商品の会社の中の人からコメントがもらえることもありえます。この自分なりに分析できればリバース・マーケティングをまとめて、ポートフォリオにしていけばいいでしょう。
リスキリングでは目に見えるアウトプットをためていくことが自信に繋がって、継続につながります。転職の面談でも作ったマーケティングポートフォリオを見せることで、自分のスキルを目で見える形で示すことができて好印象です。
あるいは、自分で動画・音声・文字のデジタルコンテンツを作ってしまって、その収益化に直接取り組むことで自分のみ商売をもつのもよいです。
デジタルコンテンツの場合は、オンラインショップや自前のウェブサイトでのコンテンツ販売にむけたウェブマーケティングの施策を行います。
まとめ
ここに